ゲー

ドリラー・キラー 劇場公開版のゲーのレビュー・感想・評価

3.7
酷評している人だらけだが、自分はコレ、割と良いと思う。
確かに殺戮シーンは地味だし、ストーリーも設定も単調。だが、この時代の低予算映画にしか出せない味が、確かにある。
ホラー映画というよりか、アメリカン・ニューシネマの系譜にある作品。
『タクシードライバー』のトラヴィスも、一歩間違えれば、こんな姑息な殺人鬼になっていたのであろうか。

まず、出演者が全員汚らしい!
どいつもこいつも金も未来も無い若者達そのもの!
家もボロい!車もボロい!
79年ニューヨーク貧民街の様子を、リアルにお届け!

次々に殺されるモブのホームレス達は、小銭で雇ったモノホンのホームレスなのだろうか?
まるで漫画『死都調布』に出てくる様なオッサンたち。
それくらい汚くて、リアルな貧者達だった。

しょうもない演奏を延々と披露するパンクバンドもリアル。
70年代後半のパンク第一世代の底辺を見せてくれて感激(?)


ストリートには夢があるが、ここに映るのはその闇、日陰、裏側。
玉石混合の中、ただの石ころでしかない人々を描く、どんよりとした貧困ホラー。
ドリルが工作用の小さいやつじゃなくて、土木作業に使うでっかいやつで殺しまくっていれば、もっと評価されてたろうな。
ゲー

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