猫脳髄

ドリラー・キラー 劇場公開版の猫脳髄のレビュー・感想・評価

2.6
アベル・フェラーラの監督・主演(※1)のスラッシャー・ホラー。売れない画家がストレスのあまり、電動ドリルを得物(※2)にホームレスを襲撃するという趣向だが、王道の娯楽作品にせずにちょっと社会派にしてやろうかという目論見が躓きの石だった。

電動ドリルという得物がどうにもショボいのだが、さらに主人公が19.95ドルの携帯バッテリーのCMで天啓を得るシーンには笑ってしまう。そんなにドリルを使いたかったのかね。階下で騒音を立てるクソバンドを狙わずに、さらに立場の弱いホームレスを襲うという弱腰ぶりである。一応ホームレスを襲う理由らしきものが冒頭でチョロッと描写されはするが、実際のところは不明瞭である。

脚本も演出も上滑りしており、主人公がさらされる疎外をうまく描写できていない。本筋に関係ないパンクバンドの演奏を延々見せられるのも苦痛でしかない。尻切れの終わり方も得心できない。

※1 俳優としてはジミー・レイン(Jimmy Laine)を名乗っている
※2 電動ドリルを得物にしたのは、管見ではあるが、イギリスのピート・ウォーカー「フライトメア」(1974)が最初ではないか
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