さすらいの旅人

デンジャー・クロース 極限着弾のさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

3.4
オーストラリア発の知られざるベトナム戦争実話の映画化。
【VOD/Amazon Prime/配信視聴】

オーストリア軍108人対北ベトナム軍2000人の「ロングダウンの戦い」の映画化。
今なぜベトナム戦争か疑問に感じるが、オーストリア軍18名の犠牲者だけで勝利した武勇伝を誇示したいためかも知れない。映画の解説の中では、母国がこの事実を知ったのが45年後となっており、改めて国民にこの事実知らせるためかも知れない。

小部隊に分かれてのジャングル戦のため、各部隊の位置が同じ様に見え、映像的に分かりずらいのが難点と思う。しかし、銃撃戦や見所の極限着弾は迫力満点だ。機銃掃射から出るものすごく早い弾の赤い残像がリアルであり、恐ろしく怖かった。
あと「地獄の黙示録」のオマージュかどうか知らないが、女性ボーカルのロックバンド慰問団が登場し、凄惨な戦争場面が続く映画の中で唯一の癒し場面となった。

私の知っている有名俳優はあまりいなかったが、小隊長ハリー・スミス役のトラビス・フィメルは、部下と対立することもあったが、「信頼」をモットーとする心優しい面を持つ隊長を見事に演じた。また、彼の坊主頭も戦争映画の登場人物としてはめずらしく個性的であった。
それから不思議に思ったのは、誰もヘルメットをかぶっていなかった事。そのかわりスローチハットと呼ばれる帽子はかぶっており、どうやら熱い気候の場所ではヘルメットはかぶらないらしい。映画の場面では頭を打たれるシーンもあるので、私は絶対必要と思う。

オーストラリア映画であるが、ハリウッドと遜色ない戦争アクション映画として完成されており、戦記物が好きな方はぜひご覧ください。