みかんぼうや

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男のみかんぼうやのレビュー・感想・評価

4.0
米国巨大化学メーカーのデュポン社の環境汚染問題とその訴訟を描いた本作。巨大権力VSそれに立ち向かう立場弱き者、という比較的よく描かれる構図ながら、その脚本や演出の素晴らしさもあり、期待を遥かに超える同ジャンルの中でも屈指の傑作だと感じた。

企業物は基本的に面白いものが多いものの、★4.0以上(個人的に何回も観たいと思う大好きな作品)はつけたことがなく、あくまでも“とても面白い映画”止まりだったのだが、本作は米国トップ企業を相手に、“守るべき正義”のために約20年近く闘い続けた弁護士ロブと周りの信念に、ただただ心を動かされ、企業物ではあまり経験したことのない目頭が熱くなる場面が何度かあった。

映画でも描かれてはいるが、正義のためとはいえ、それまでの安定した自分自身の立場を捨て、権力に忖度することなく、時に周りの人間を危険な状況に陥れるリスクも抱えながらこの長期間戦い続ける。作品を観ながら、こんなストレスとプレッシャーの中で、自分は正義のために折れずに戦い続ける精神力があるだろうか?と何度も自問自答してしまった。

同様のテーマでは、日本でも水俣病などの公害問題があるが、恥ずかしながら小学校の頃に教科書で習った程度の最低限の知識しか持っていない。本作で外国企業での問題を通じて、改めて日本の歴史を勉強する必要があると感じた。
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