このレビューはネタバレを含みます
何を撮りたいのかという冒頭の問いにずっと悩まされる
撮りたいものがあるカメラマンは目的に向けて最短距離で行動して、達成されば次の場所に行くのかもしれない
一方で特定の何かを撮りたいというわけでなく、そこにいる人や文化そのものに関心を持ってしまうと、一緒に居て、撮り続けること自体が目的になってしまう
すなわちゴールがないのかもしれない
どちらが正しいということもないと思うけれど
戦場カメラマンとしては後者のほうが危険なのは確かで、やっぱりカミーユは生きて帰れなかった
他にも戦場カメラマンとしての自意識の問題(戦場は自己実現の場なのか)や、
社会の関心と事態の深刻さの不一致の問題など、簡単ではないテーマはいくつか提示されている
しかし何かに主眼が置かれているわけではなく、結論が提示されるわけでもない
実話に基づく話であるし、客観的であることに終始するというスタンスなのかもしれないけれど、映画としてはぼんやりとした印象が拭えない
2021年20本目
