じゅ

シークレット・ガーデンのじゅのネタバレレビュー・内容・結末

シークレット・ガーデン(2020年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

小さい頃あんなかんじの場所をあてもなく探してた覚えある。ハリーポッターの影響だな。勿論なかった。
イギリスにあったかー。さすがハリーポッターの国だ。


1947年、第一次インド・パキスタン戦争とコレラで混迷を極めるインド。ある夜、メアリの両親が使用人を連れて屋敷を飛び出した。それきり、誰も帰ってこなかった。数日後、屋敷に来た兵士に救助された。あの夜、母が病で亡くなり、直後に父も後を追ったのだそう。メアリはイギリスの親戚の屋敷に引き取られることになった。これまで人形のジェマイマに向けて創作の物語を語っていたが、インドからイギリスへの出発を機にやめてしまう。
屋敷は悲しみに暮れていた。メアリの母の双子の妹であり主人の妻であった人が亡くなってから、残された公爵と息子コリンは長い間塞ぎ込んでいた。特にコリンは脚が不自由で、長い間自室に篭りきりだった。
メアリは屋敷や私有地の中で不思議なものを見つけた。亡き夫人の絢爛なドレスや装飾品や美しい思い出の写真が飾られた隠し部屋や、動物が語りかけて植物が意志を持つように動く不思議な庭。メアリは使用人の弟ディコンと共に、庭が生き物を治癒する魔法を備えていることに気づく。庭の魔法でコリンの脚も治せると考え、秘密裏にコリンを連れ出そうとする。庭には母が亡くなった場所があり、母の面影を何もかも拒絶するコリンにとってそこは見たくもない場所だった。
そんな中、3人は屋敷の方から黒煙が上がっていることに気づく。公爵が火の扱いを誤り、屋敷全体に燃え広がっていた。メアリは屋敷にただ一人残された公爵のため炎の中へ飛び込んだ。コリンの部屋で我が子を探していた彼の手をひき、亡き双子の姉妹の幻に誘われながら外へ。公爵をコリンが待つ庭へ連れて行くと、コリンは杖に頼りながらも自らの脚で立つようになっていた。
屋敷の修復工事を見ながら、メアリは屋敷の皆との物語を紡いでいく。


大人になるってなんなんだろう。成長するってどういうことだろう。
お人形さんに向かって創作の御伽噺をするのをやめることなのか。否、べつにジェマイマのお話を創作したって屋敷のみんなのお話を創作したっていいじゃないか。
勉強したり礼儀を身につけることだろうか。それもまあ一理あるかも。でも本作ではちょっと違うか。寄宿学校行かんかったし。
アーヤだのマーサだののお手伝いさんに手を貸してもらわなくても一人でお着替えができるようになることなのか。これは成長の要素の一つだったかも。

乗り越えることなんだろうか。誰かの死で刻まれた深すぎる悲しみを克服することとか、閉ざした世界で削られた時間を取り戻すようにがんばってみることとか。
メアリもそういえばディコンも大好きだった親を亡くしてんだよな。でも(多少の傷は残しながらも)日々精いっぱい生きてる。夢で見て思い出したりもするけど、だからって悲しみに暮れてるだけじゃない。
一方であの親戚親子は夫人の死を四六時中悲しんでばかりだった。公爵は息子に背中にでっかいこぶがあるとか何とかって嘘を吹き込んだの?そういえば医者とか呼ばないで薬だの矯正器具だの全部自分らでやってたな。で死から遠ざけるために屋敷の中でずーーっと保護しようとしてたってこと?仮にだとしたらだいぶやべえ。そりゃあ牢獄言われるて。息子も息子でギャーギャー叫んで喚き散らしてまで母がいた形跡とかそれを意図はどうあれ見せようとする者を遠ざけようとする。
それを、まあ最終的には火事っていう強制要因もあったにせよ、乗り越えたわけだ。公爵はやっと息子の部屋に入ったし、次々と物を捨てるのに残してた妻の遺品をやっと手放して、息子を部屋に押し込めてぶつけていた妻への執着を払拭してやっと息子本人に「おまえが大切だ」と言うことができた。息子コリンも、自分の脚で立てるようになってたかもしれない時間を取り戻すように、母の思い出の庭の力を借りながら努力し始めた。

それにしても、乗り越えられなかったのがメアリの母か。双子の妹の死を乗り越えられず病になってそのままコレラで死ぬとか、あんまりな最期だったな。


まあ、大切な人のために大切な人を犠牲にせぬよう。生きてる人間なりに生きてくれ。
じゅ

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