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羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来のhariのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

キャラよし、掛け合いよし、ストーリーよし。

フーシーの言い分も分かるなあ…。分かるというか、動機は正当だと思う。手段は間違っているけど。
自分たちが住んでいた場所を奪われ、先住民である自分たちが妖怪であることを隠しながら侵略者の人間たちに配慮して暮らさなければならないなんて理不尽だと思う…そりゃあ故郷を取り返したいよな…

人間たちに迎合して都市での暮らしを楽しむ妖怪たちに悪気はないのだろうけど、その無邪気さをおぞましく感じた。人と共存するためには仕方のない選択ではあるのだろうけど、そこでの暮らしを受け入れるということは、そこにかつてあった誰かの故郷や生活を否定するも同然だから。

シャオヘイは素直ないい子なんだけど、フーシーに人間と一緒に暮せばいい(うろ覚え)みたいなことを言ってしまうシーンは「なんて残酷なことを言うんだ…」と引いた。よりにもよってフーシーにそれを言うんだなあ、と。それができないからこんなことをしているというのに。フーシーとシャオヘイが決して分かり合えない存在であることを受け手に突きつけるセリフだった。

フーシーが自分のためだけに戦う奴じゃないところも好き。「信じてくれた仲間のために!」のセリフがとても良かった。ここに至るまでの背景と葛藤と覚悟が詰め込まれている一言だったと思う。

フーシーのやり方が間違っていたと書いたけれど、でも正しいやり方で故郷を取り戻すのは不可能だったと思う。だからフーシーにできることは新たな生活地を探すか、諦めて人間と共存すること。でも自分がフーシーの立場だったらそのどちらも受け入れられないかな。
たとえ奪われた側であっても、間違った方法しか打つ手がなくなってしまったら、もう"詰み"なんだなと虚しい気持ちになった。

でも利用するために優しくされたシャオヘイは可哀想でした。
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