2000年代にメディアを賑わせた一連の「騒音おばさん」騒動をベースに、隣戸に越してきた主人公である女性作家が、迷惑行為を作品にしたことで始まる騒動のてん末をたどる。
当時もメディアスクラムに晒されて面白おかしく報道されていたが、SNSや動画配信が全盛期の現代に置き換えて、騒動はさらに大きくなっていく。
非常に不満なのは、本質に切り込むことなく結局人情話に落とし込んでしまったシナリオである。現実の事件を題材とするなら、作り手には何らか剔抉する義務がある。現実の事件はハッピーエンドなど迎えていないのだから。作品側がそれをねつ造するのは、一種のポルノと言ってよい。実に不愉快な作品。