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ミセス・ノイズィのKのレビュー・感想・評価

ミセス・ノイズィ(2019年製作の映画)
1.2
奈良騒音傷害事件。通称:騒音おばさんをモチーフにした映画。非常識合戦。どっちもどっちに見える演出。赤すぎる口紅。ケーキ。真相。虫が苦手なので、それ関連の映像はキツかった。あれが本物だとしたら耐えた宮崎太一さんはすごい。日立のデスクトップパソコンPrius(プリウス)が懐かしい。きゅうり。鯖みそ。マスコミと観衆の手の平返し。得だけする従兄弟。お見舞い。物事を一方向から判断してはいけないし、相手をよく知りもせず決めつけるのはよくないという話。ずっとその調子が続くので、観終えた直後の感想は“これだけか”だった。オリジナリティ・手応え・見応え、どれも弱い。映画にする以上はもっと劇的に仕上げてくるのかと思っていた。実際の事件の概要に、噂レベルの騒音おばさん被害者説のエピソードを盛っただけという印象。宗教色は排除。最もひっかかるのは“想像力をもって当事者のことを考えよ”と訴えながら、この映画自体があの事件をネタにしていて当事者目線が抜け落ちていると感じられる点。多かれ少なかれ、この映画の影響でこの事件は蒸し返されたと思う。さらには20年近く前ということもあり、そもそもこの事件を知らない層にまで周知された面がある。世間で話題にならなくなっても、ネットには真偽不明の情報が残り続ける。名前・住所・顔写真・経歴・家族構成。好奇の眼差し。当事者たちの人生はその後も続いている。この映画からはその痛みも伝わって来ない。この程度のメッセージ性ならオリジナル脚本で描いてほしかった。当事者の方々とそのご家族が今になって改めて迷惑を被っていないことを願う。
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