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ミセス・ノイズィのStaycのレビュー・感想・評価

ミセス・ノイズィ(2019年製作の映画)
4.5
大変良い映画であると同時に、いわゆる“二度と見たくない映画”リストに加えられるだけのしんどさもある。
それは他の人も指摘するように「登場人物誰一人マトモじゃない、アイツも悪いしコイツも悪い」そんな映画だからだ。

しかしこの作品が素晴らしいのは、皆ちょうど現実に存在するくらいの悪さ・異常さなのである(「悪さ」とは倫理的な善悪ではなく、「悪い状況を引き起こす度合い」を指すニュアンス)。
そもそも人間の良し悪しなんて状況・相性で大きく揺らぐもので、それが最大限悪いところで噛み合ってしまった結果が本作で描かれた事件だし、逆に最大限良いところで噛み合った部分で落着した結果が最終的なハッピーエンドなのだと思う。
個々人の描き方(俳優の皆さんの演技含め)のリアリティと、その噛み合わせの結果としてのストーリーの振れ幅のファンタジー具合の対比が見事だった。そういう意味で、視点が変わると見え方が変わるという点も、単なるサスペンス的なカタストロフィ以上の示唆がある。

……ファンタジーなど書いたが、実際の事件について調べてみるとどうやら本作の描写はそれほど突拍子がないわけでもないようで、しんどさは更に募る。
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