かじドゥンドゥン

悪なき殺人のかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

悪なき殺人(2019年製作の映画)
2.8
フランスの田舎町にある別荘に滞在中だったはずの、パリ在中の裕福な中年女性が失踪した。実はこの女性、すでに殺害され、その遺体が畜産家ジョゼフの牧場内に遺棄されていた。母を亡くして傷心中のジョゼフは、冷静な判断をできず、パニックの中、遺体を隠したため、事件は拗れ出す。では、そもそも件の中年女性を誰が何の目的で殺したのか。事件の真相が、何人かの視点から多角的に描かれることで、解き明かされて行く。

コートジボワールの詐欺集団に属する一人の青年が、「アマンディーヌ」と称するセクシーなフランス人女性になりすまして、出会い系サイトで件の田舎町に住む中年男性ミシェルをまんまと鴨にする。ところが、偶然と勘違いが重なって、このミシェルが良かれと思い、愛する「アマンディーヌ」を悲しませたレズビアンの女(件の中年女性)に詰め寄り、ついには殺害してしまったのだった・・・。

原題は"Seules Les Bêtes/Only the Animals"。つまりどいつもこいつも畜生ばかりで、自分の欲望に突き動かされて生きているが、それが思わぬ連鎖、あるいは(もちろん皮肉だが)連帯をうむ。

「あの場面とあの場面がこうしてつながっていたわけね」というアハ体験を楽しむ浅いトリック映画で、愛や人生に関する特に深い考察や思想が底流にあるわけでもない。