にくそん

わたしの叔父さんのにくそんのレビュー・感想・評価

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)
3.9
いい匂いのする映画だった。上映時間に対して描きたいことが多すぎなくて、そのゆとりが、映画のどこかのどかな印象につながっている。せつないことも描かれているのに、変に悲しくはない。

二人が食事するとき、古いテレビから流れてくるのが、トランプ大統領がどうしたこうしたとか、当たり前に最近のニュースで、「あ、今の話だったっけ」と思って、しゅんとした。第一次産業を、機械化・自動化だとか6次産業化だとかと無縁の、旧来のやり方で粛々と続けて、ライフスタイルも例えばパンは古びた魚焼き器みたいなやつでトーストしていて、それもそれで不幸そうになどは見えないけど、でも取り残され感は否めなかったので。

叔父さんは、クリスを送り出してやろうという気持ちはあれど、首尾一貫した態度を取れてはいなくて、人間だなあと思う。ヌテラはいかにも体に悪そうなのでやめたほうがいい。クリスは首が細くて綺麗な子だった。近所で唯一の高級レストランを予約したマイクは少し気の毒な気もする。ちなみに公式サイトのキャスト紹介にマイクは載ってない。

この映画を観ているとき、不思議なぐらい、今までに観た他の好きな映画のことを想起していた。『世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族』とか『ゴッズ・オウン・カントリー』とかの最近のから『暖~ヌアン』まで。この劇場(恵比寿ガーデンシネマ)も月末で休館なんだなという感傷が影響したのかもしれない。
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