「切り取った日常にこそ、大切なものが潜んでいる」
「わたしの叔父さん」鑑賞。
デンマークのとある農村、27歳のクリスは幼ない頃に家族と死別して以来、叔父とふたりで暮らしてきた。
叔父の介護をして、家業の酪農の仕事をこなし、夕食後にコーヒーを淹れてくつろぐ…週一の買い物とたまの喧嘩がルーティン。
そんなクリスの日常に少しずつ変化が訪れる。かつての夢だった獣医の仕事に触れたり、教会で出会った青年からのデートに誘われたり。そんなクリスの背をそっと叔父は押す。
行間を読む映画っていうのがあって、これはまさしくそれ。少ない台詞から心情を読み取るのは映画好きの愉悦だと思い出させてくれる。
あとでチラシを見て納得…やはり小津安二郎を師と仰ぐ監督さんらしい。
全体に抑制した中で奥行きを感じさせる作風は小津監督直系だ。
この手の映画は感覚的にヨーロッパと日本が深層心理の部分で近いんじゃないかと思ってしまう。