ーcoyolyー

わたしの叔父さんのーcoyolyーのレビュー・感想・評価

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)
4.0
体温と出力低めで日常をやり過ごすヤングケアラー。叔父さんのため、という建前が居心地良くて実のところ外へ一歩踏み出す勇気が出ない。叔父さんは彼女に自分の人生を生きてほしいのに。かつて家族を失った彼女は引き取ってくれた叔父さんまで失うのがこわい。だから彼の身体の状態にかこつけて介護という大義名分で引きこもっている。

叔父さんは彼女に自分の人生を生きてほしいと願っている、建前は。でも本音はよくわからない。自分たちでもよくわからないのかもしれない。私は子供の頃父親が出張に出る度に何故か熱を出したり体調を崩していて「なんでだろう、わたしあの人のこと別に好きじゃないのにな?」と密かに不思議に思っていた。去年やっと気づいたのは父親が物理的に離れてその日は家に帰ってこないとわかると極度の緊張が解けて無理に無理を重ねていた心身が少し緩んでその結果体調が崩れてしまっていたということ。
あの叔父さんが私と似たようなものを抱えているのか逆のものを抱えているのか、それとも全く違うのかどうかはわからない。

彼らが静かに共依存状態に陥っているのかどうかもわからない。ただ、物語は彼らの日常にヒビが入ったところで終わった。決定的な出来事は起こらない、この物語の時間の中では。この物語の外、近い将来それが起こる予兆だけを残して終わる。
ーcoyolyー

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