片腕マシンボーイ

叫び声の片腕マシンボーイのレビュー・感想・評価

叫び声(2019年製作の映画)
3.6
大田原愚豚舎旗揚げ10周年特集上映にて

養豚をする男の1週間やぞ!っつ〜話

セリフを極限まで排し、ほぼ同じ作業の繰り返しである1週間をただただ撮る、もちろん映画的な物語性などは一切無く、ひたすら豚と主人公の養豚場のおじさんを演じる渡辺紘文の背中を見せられる
モノクロでセリフも無くただただ豚を追った映画といえば、農場で産まれた子豚と母親の日々を追った「GUNDA/グンダ」って傑作ドキュメンタリー作品もあるが、本作を観るといかにグンダの日々がアドベンチャーに富んでいたか!なるくらい、本作には日々のルーティン以外には何も無い、朝起きて、年老いた祖母と飯を食い、歩いて豚舎へ、豚の世話をして、歩いて帰路へつく、それをひたすら繰り返し、日曜の夜だけは客が誰もいない映画館へ

そんな作品やからば、当然の事ながら眠くなることを覚悟していたんやが……、火水くらいに眠気に襲われるも、木曜くらいからは逆にクセになってきてバキバキに冴えてきましてね!
なんせ音が割れんばかりに鳴り響く豚達の鳴き声に!渡辺紘文の背中に合わせて鳴り響く和太鼓のリズミカルな爆音!キレキレの映像美とキュートなデカ豚!そこへ大田原愚豚舎の作品の特徴である反復の美学が見事にハマって、クセになってくるこの感じ
うむ、シンプル過ぎる物語が、日本のインディペンデント映画の極地とも言える大田原愚豚舎の作風により鋭利な刃物となって我々に向かってくんのよ!

そして日を追うごとに、豚の金切り声に塗れた渡辺紘文の背中から漏れ出す籠った叫び声よ…………、そうね今日からちょっと長めの連勤なマシンボーイは初日まだ半分も経っていない今から作中の渡辺紘文の気持ちに寄り添いすぎて絶望よなぁ、早く次の休みなってアイスクリームがフィーバーするモトーラさんに会いに行きてぇなぁ!ぺろぺろぺろぺろ