エミさん

タイトル、拒絶のエミさんのレビュー・感想・評価

タイトル、拒絶(2019年製作の映画)
4.0
TIFF2019にて。
山田かな脚本・監督作品。
劇団ロジックで先に舞台作品として公演している。

舞台は鶯谷にあるとあるデリヘルの事務所。
何処にでもいる普通の若い女性カノウ(伊藤沙莉)が、普通じゃないデリヘルの世界に飛び込んでみるも、嫌悪感でデリヘル嬢にはなれず、なのに何故か、そこの事務所に留まって事務員をしているという何とも不思議な展開。

事務所に詰める女の子達と事務員の世界は、世界の隅っこにある一部分の世界なのだが、人間関係が世界の縮図の様に濃い(笑)。自分達を負け犬と認めつつも見ないふりをして、現状にもがいているデリヘル嬢たちの姿と、『自分とは違う変わった人達』と、うがった目線で見ながらも何となく流れに任せて現状をたゆたっているカノのやり取りが、実に今どきの女の子っぽいリアルさがあって、すごく刺激的に思えた。

その店の人気デリヘル嬢にマヒル(恒松祐里)という女の子がいる。いつもニコニコしていて、問題が起こっても笑ってブラックな冗談で流そうとする。本心は別にあるのに、「良いようにゴミを溜めている」とかのたまっている。。
昔、周囲に居たなぁ、こういう女。
浅い付き合いを求める奴らには人気があったけど、変人な私には、どうも薄っぺらく感じてしまって、その子がチヤホヤされているのを見ては、くだらねーなぁって心中で毒づいてました。
映画と一緒でした… f(-_-;)
今となっては気恥ずかしいですが、そんな縮図な世界の端っこを観ることが出来て、ちょっと登場人物たちに寄り添えた気がしました。

カノウが「人生にタイトルって必要ですか?」って聞く。
何となく流れに任せてたゆたいながらも人生って何なのかと、女性目線で切り取っているところが共感。主演者だけでも充分惹くのに、全員の演技がヒリヒリしていて刺激的だった。劇場公開になったらまた観に行きたいです。