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れいわ一揆のfmのレビュー・感想・評価

れいわ一揆(2019年製作の映画)
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与党を支持してもジワジワ現状悪化するだけだから、ケツを叩く意味でも私は毎回野党に投票している。
とはいえ、正直言ってどの党にも賛同できない。

劇中で「15秒の質問を15秒で答える。それを10セットやろう」と自ら提案するぐらい、山本太郎は卓越した話術を持っている(三原じゅん子の大仰な役者っぷりも目に付いたが)。
レスポンスが速いし、彼を支持する人々がほしい言葉を返している。
現体制に疲弊した状態で彼の話を聞くと、胸が熱くなるのもわかる。
スポークスマンとして非凡である。
が、熱狂の他に何があっただろうか?(障害者を国会に送り込んだ功績はある)
演説力と実務能力が比例しているのか疑問なのである。
熱狂、怒り、芸術、喧嘩、カリスマ、楽しさ、新しさ、党派性、そういうのは景気さえよくしてくれればどうでもいいのよ。
政治に面白さを求めた結果が今のワイドショーなわけだから、面白くなくたっていい。
この映画を観ても山本太郎の全貌は掴めない(太郎はさほど取材協力しなかったそうだ)。

本作の主役は安冨歩である。
安冨はアートを表現する場として選挙に参加し、原一男がそれを撮影した。
都心のビックカメラの前で馬が糞を垂れながら闊歩している様はたしかに凄味がある。
安冨は全体主義(システムの奴隷)を嫌っており、子供・馬・マイケルジャクソンなどのネイチャーなものを好んでいる。
その思想は共感できる部分がままある。
さしあたって性自認から解放されようというアチチュードもわかる。
原一男との親和性が高いため、てっきり熱心な原ファンかと思っていたのだが、撮影が終わるまで『ゆきゆきて、神軍』すらみたことがないそうな。
「立場主義人民共和国」というパワーワードが強烈。
しかし「Heal the World」の連発とチンドンはいただけない。

原一男特有のシリアスギャグが入っており、西成のおっさんとか選挙演説中に映るアレな人々に目が行く。
日本の民主主義をめぐるドキュメンタリーとして一見の価値はあるけど、れいわ新選組に関してはようわからんな。
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