シートン

ラ・ジュテのシートンのレビュー・感想・評価

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)
4.2
静止画の連続が、世界観の奇怪さと奇妙な反復を演出している。

動画は動画が流れていく時間を観るものに感じさせてしまう。静止画であればこそ時間を超越した物語が可能になっているのだ。

それゆえに唯一、ムービーになっている彼女の顔だけが時間を超越していることを意味する。主人公が過去にあっても未来にあっても、その彼女の目は心から離れることがない。

彼女がいればこそ彼は時間を越えることができたが、それは彼が過去に執着し、現在に執着していなかったからだ。

現在に執着する者は実験の準備段階において死に、過去に執着する者は送られた過去において死ぬ。

被験者が生き延びるには未来に行くしかない。未来に希望を持つほかない。

だが、それは不可能だった。もはや3つめの世界大戦を経験した世界においては。人間は否応なく何の希望もなく死すほかない。
シートン

シートン