モノクロの静止画とナレーション、そして音楽で語られる核戦争後の近未来を舞台にしたディストピア映画にして時間旅行物。
僅か28分の短編ながら永遠の時間の流れと、一瞬の時を同時に体感させてくれる。
1シーンのみ動画があるが、それ以外は静止画で・・・それもフィルムではなく印画もしくは印刷した写真をカメラに収めている為、観る者の記憶のイメージを引き出す様なノスタルジックな感覚を呼び覚ましてくれる。
いかにも1960年代のヌーヴェルヴァーグ的なフランス映画なのだが、ロマンティックで分かりやすい物語かつSFとしてもオーソドックスな形式を保っている為、時代の空気をまとい過ぎておらず・・・時代を先取りしたという意味とは違う・・・古さを感じさせない普遍的な作品なのも素晴らしい。
ヒロイン役のエレーヌ・シャトランさん(出演時26か27歳)、監督や脚本家として活躍したので女優としては唯一の出演作なのですね。
素朴な美人さんなんだけど雰囲気があって、作品の要になるイメージを見事に体現していて素晴らしいです。こういう作品って、ヒロインが駄目だと、もうどうにもならないからね・・・。
2020年に新型コロナで無くなっている所がまた、『12モンキーズ』っぽいというか、なんというか・・・。