明石です

ラ・ジュテの明石ですのレビュー・感想・評価

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)
4.0
核兵器で荒廃し、人々が地下にしか住めなくなった近未来のパリ。過去の時代の記憶を呼び起こせる装置を使って、まだ平和だった頃の時代のパリに戻ると、そこには夢のような女性が待っていた。未来に行くと、そこには、地球滅亡を食い止める術を知っている未来人がいた。被験者(主人公)はどちらの世界を選ぶのか。

全編静画のモンタージュで構成されており、それでいて画面に動きがないことを感じさせない画の力に驚く。なんなんだろうこの充実感は、、そして、映画って本当に24コマも必要なんだっけ?と考えさせられる笑。平和だった頃のパリに戻ってもなお、動物(や恐竜)は剥製で、生きた動物は自分と彼女一人しかいないという闇深い一幕も好き。

現実の世界で幸福を得られなくとも、夢の中で幸せに生きれると知れば、人は簡単に現実を捨ててしまう。「素晴らしい新世界」を想起させるなかなかに怖いお話。あと、最後まで見終わって気づいたけど、テリー·ギリアムの『12モンキーズ』って、この映画を元にしてたんですね。未来過去を行き来し絶滅間近の人類を救おうとする悲劇の被験者が主人公なところも、そしてオープニングとラストが円環構造になってる構成もそのまま本作由来で驚いた。
明石です

明石です