せ

約束のネバーランドのせのレビュー・感想・評価

約束のネバーランド(2020年製作の映画)
2.0
とにかく全体的に原作に対するリスペクト不足が目立つ。
原作にあった良い所が全部なくなった。
インパクトのあるサプライズ、水面下での読み合い、沢山の複雑な駆け引きと驚くような知恵やトリック…一体どこへ消えたのか。
最後のトリックだけは変えようがなかったからそのままなようだが、途中までが雑だったせいでいきなり知能指数が爆上がりしたようにしか見えなかった。

絵面も中々残念だった。
森の中以外のシーンは細かく書くとキリがなさそうなほど細部に至るまでテキトーでチープに見えてしまう。
子供達の年齢設定を変えたら、大人の、特にママの圧や怖さが損なわれると思わなかったのだろうか。
どうしてこんなにも直接目の前で全てが起こる脚本にしたんだろうか。
美術面は鬼のCGで予算を使い切ってどうしようもなくなってしまったんだろうか。
とても悲しい。
でも何よりも受け入れ難かったのは年長の子ども達5人の髪だった。

GFの目的では「自然に」子どもを育成する事だったはずだ。
その点は「なぜこんな風に子どもを育てなくてはならないのか?」という孤児院の存在に関わる重要な設定であった。はずだった。
しかしメイン5人の子ども達が、人工的な部位を頭にのっけた彼らが画面の中にずっと居て動き回っているのを見るとどうしても「不自然」という言葉しか浮かばなかった。
他の孤児院の子がナチュラルな髪で出てきたのでより一層強調されてしまっていたのもキツかった。

でも役者さん達の演技にはあまり不満はなく(演出というか演技プランが悪そうだなとは感じる時はあったけど)精一杯与えられた環境で出来る限りのパフォーマンスをしてくれたんじゃないかと思う。ありがとう…特に北川景子…ママは完璧だった…。

とにかく企画した側の人間と監督と脚本と日本の映画界が悪いんだろなと感じたので、是非ハリウッド版に期待したい。
せ