ゆき

はるヲうるひとのゆきのレビュー・感想・評価

はるヲうるひと(2020年製作の映画)
3.7
真っ当

「麻痺なんて贅沢」こんな哀しいセリフと役者さんの熱演に見入る時間だった。
しょっぱい人生を送る義兄弟。
何かを掴もうと日々を消化し誤魔化しながら、救いを求める当てもない人々。
聞き慣れない方言と細部まで作りこまれた小道具や演出。
丁寧すぎるくらいに説明的なセリフもありつつ、全ての登場人物に光を当てる展開。
目をそむけたくなる境遇もあるが、言葉遊びみたいな繋がりでエンドロールまであっという間。
抑制された感情の行き場に葛藤し続ける姿を見守る。
虚な人々が口を使って描き上げた寓話。それでも笑うしかない人生は、至って普遍的なのかも。

脚本助手「城定秀夫」のクレジットは見間違いだろうか・・・?

***
本土とは1日二便の連絡船のみで繋がる島。そこには多くの「置屋」が点在する。一軒の置屋を営む「三兄妹」。そこで働く4人の遊女たち。長男の支配下にいる彼女たちは逃げ出せない環境に苦悩していた。
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