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はるヲうるひとのsのネタバレレビュー・内容・結末

はるヲうるひと(2020年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

この作品を佐藤二朗が原作脚本監督までしたというのが非常に衝撃的。
元から独特な空気感を持つ俳優さんだし、掴みどころのない、どちらかというとユーモアな印象があったので、今回の作品を見て彼の頭のなかが一体どうなっているのかと余計に分からなくなる。

テーマとしてはものすごく重い。身体を売ってお金を稼ぐ女の人。そこを取り締まるのが長男の佐藤二朗。雑用をしてる次男の山田孝之、病気で家に篭り酒浸りの妹を仲里依紗。佐藤二朗と、山田孝之仲里依紗は腹違い(?)の兄弟。
山田孝之達の母親と置屋を営んでいた父親が2人で無理心中した、それを見た佐藤二朗の母親も後を追い自死。そのせいで佐藤二朗は2人にキツく当たっていた。佐藤二朗は兄弟達にも、置屋の女達にも「お前達は鼻糞だ、真っ当になれるわけない」と蔑み、、。

佐藤二朗は綺麗な奥さんと可愛い娘のいる家庭を持つ、それはそれは幸せそうなごく普通の家庭。でも裏では置屋の女を使い、遂には妹にまで、、、。
それを見た山田孝之が発狂。これまで隠してきた秘密を打ち明ける。それは両親達の死について。無理心中をしたのは母親同士だった、それを父親が庇うように(?)自分も首を切り、血まみれになりながらまだ小学生だった山田孝之に「これは誰にも言っちゃいかん」と何度も何度も言い聞かせた。それはまるで呪いのように彼にまとわりつく。
真実を知った佐藤二朗はまるで正気が抜けてしまった、、。

この作品は山田孝之がとにかく凄い。重い秘密を抱えながら、兄の仕打ちに耐えて、酒に溺れる病弱な妹をケアして、、。時に震えるように大声を噛み殺してもがく姿が痛々しい。
仲里依紗も初めてみる表情や空気感だった。
佐藤二朗も怖かった、元々ぶっ飛んでるイメージあるけどこれはまたベクトルの違うイカれ方で恐怖だった。

途中から出てくる薬屋のミャンマー人がいいアクセント。話が噛み合ってない気もするのに、不意にグッとくることをいう。
佐藤二朗に「キスするときは目を閉じるな心を込めるな」と教え込まれた女の人がミャンマー人と結婚しキスするときに、目を閉じながら涙を流したのが印象的だった。
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