諸星だりあ

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームの諸星だりあのレビュー・感想・評価

5.0
初日初回鑑賞。
シビル・ウォーから始まったMCUスパイダーマンの完結編。
前作で、全世界に正体を晒され汚名まで着せられたピーター。それは友人達の人生にも影を落とす。
ピーターはかつての戦友、ストレンジに魔術による世界のリセットを嘆願するが…。

トムホランド版完結作、に留まらずスパイダーマン映画の完結作となっている今作。
リブートによる作り直しを作品の中で正当に消化し、ピーターパーカーの物語を着地させている。
もはやネタバレもネタバレだが、三人のスパイダーマンが集結しそれぞれの敵との戦いに赴く。
親友ハリーを失っている初代ピーター。
恋人グウェンを失ってる2代目ピーター。
そして今回…3代目ピーターはメイ叔母さんを失い深く傷付く。
だがその上で「大いなる責任」を伴ったスパイダーマンズがヴィラン達を救いに向かう壮大なストーリー。

醍醐味であるスパイダーアクションは最高潮。
定番の乗り物を食い止める人助けから、前作で見せた異世界と現世界が混ざる映像表現も炸裂。それぞれ異能技を持つ敵と自由の女神の上で飛び回る最終決戦は気付けば息を止めて見ていた。
そしてスパイダーマンは、「喪失」を乗り越えヒーローであり続けるというエンディング。
最初の頃の軽口はすっかり消えて、一人の男として再び街を蜘蛛の糸で飛び回る。

周囲との摩擦に悩むヒーローは数あれど、それが最も様になるのはスパイダーマンではなかろうか。それは外見だけで偏見を持たれがちなクモという生き物を象っているが故の宿命かもしれない。

ある種のクロスオーバー、お祭り映画の趣きもありつつそれを遥かに超える「正史」の一作。
もうスパイダーマン映画は要らない。
だって本物が3人もいるのだから。

長年のファンが抱える鬱屈も「治療」してみせた、親愛なる隣人に拍手。
「正しいことをした」
諸星だりあ

諸星だりあ