ポテトヘッド

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのポテトヘッドのレビュー・感想・評価

4.6
すごいなぁ…と。
自分が恐ろしくなるが、それでもそんな月並な感想が精一杯だ。
本作を観ることは、娯楽とかいうカテゴライズなど遠くに置き去りにした、全体的で個人的というアンビバレントな経験である。

『すごかった…!』
『あのシーンって…』
鑑賞後にそんな興奮した会話がそこかしこから聞こえてくる。

(あのスパイダーマン見た時は…)
(そう言えば、あのヴィランも…)
一方で余韻に浸り思い出にふける。

今感じた興奮を世界中の人達と共有し、隣の人と語り合いう一方で。
個々人のパーソナルな世界へと干渉してくる。
喜怒哀楽も思い出も夢も希望も全部背負い込んで、"親愛なる隣人"は僕らにニコっと笑いかける。

"どう?クールでしょ?"

帰路など思い出せず、気づけば自宅にたどり着いている。放心してソファにしばらくいるが、それでも何もまとまらない。
今はただ、幼い頃から映画を好きで、趣味と言える境遇にいたことがとても幸運だなと、不思議でトンチンカンな考えが頭を巡っている。

いつか本作を思い返す時、僕はどんな風だろうか。