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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのYYamadaのレビュー・感想・評価

4.6
【マーベル・シネマのススメ】
SONY'sスパイダーマン・ユニバース⑨
マーベル・シネマティック・ユニバース㉗
〈MCU3〉
◆監督:
 ジョン・ワッツ
◆ゲスト大物俳優:
・ウィレム・デフォー
・アルフレッド・モリーナ
・ジェイミー・フォックス
・トーマス・ヘイデン・チャーチ
・リス・エヴァンス
・当面秘匿
◆アベンジャーズ出演メンバー:
 ドクター・ストレンジ
◆ヴィラン:
 グリーン・ゴブリン、
 ドクター・オクトパス、サンドマン、
 リザード、エレクトロ

◆ポスト・クレジット・シーン:
・ソニーズ・スパイダーバース関連
 (当面秘匿)
・MCU次作『ドクター・ストレンジ / マルチバース・オブ・マッドネス』予告

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・前作でミステリオを倒したピーターだったが、ミステリオが残した映像が世界公開され、ミステリオ殺害容疑とともに正体も暴かれてしまう。
・マスコミに騒ぎ立てられ、身近な人に危険が及ぶことを恐れるピーターは、ドクター・ストレンジに助力を求め、自分がスパイダーマンだと知られていない世界にしてほしいと頼むが、魔術は失敗に終わり、別のユニバースから、ヴィラン勢の集結を招いてしまう。ピーターは、彼らの処遇を巡って、スパイダーマンであることの本当の意味を見つけなければならなくなる…。

〈見処〉
①全ての運命が終結する!
・『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、マーベル・コミック「スパイダーマン」をベースに2021年に製作されたヒーロー映画。「マーベル・シネマティック・ユニバース」(MCU)の27作目。
・MCU作品の『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』でスパイダーマンと共闘した、ベネディクト・カンバーバッチ演じるドクター・ストレンジが登場。
・また、サム・ライミ監督版『スパイダーマン』シリーズに登場したグリーン・ゴブリンやドクター・オクトパス、サンドマン。マーク・ウェブ監督版『アメイジング・スパイダーマン』シリーズからリザード、エレクトロなど、過去のシリーズ全作品のヴィランが時空を超えて登場。それぞれウィレム・デフォー、アルフレッド・モリーナ、ジェイミー・フォックスら当時のキャストが再登板。
・まさに20年に渡るスパイダーマンの集大成作品となる本作は、公開3週目にして北米歴代興収第8位に到達するなど、歴史的なヒットを爆進中である。

②禍を転じて福と為す
・1998年ソニー・ピクチャーズは、倒産再建中のマーベル・エンターテイメントから「1,000万ドル」+「マーベルに興行収入5%、グッズ販売利益50%をマージン提供する」条件にて「スパイダーマンに関連する約900のキャラクターの映画化権利」を獲得。
・2002年から2014年にかけてソニーが製作した「スパイダーマン」5作品は、高い興行人気を獲得したが、最終作『アメイジング・スパイダーマン2』は、期待する収益レベルは至らず、『アイアンマン』などマーベル製作のMCU作品の後塵を拝するようになる。
・また、マーベルを買収したディズニーにとっても、ソニー製作の「スパイダーマン」のマージンは、玩具売上の低迷が続き低下。スパイダーマンを買い戻したいディズニーと、ドル箱コンテンツを再興させたいソニーは、2015年に妥協案として、新スパイダーマン単独2作品を「映像化権利と配給はソニーのまま」「製作費はソニー負担」「プロデュースはディズニー側のケヴィン・ファイギ」「興収の5%がディズニー、残りはソニー」「グッズ収入はディズニー」「ディズニー製作のMCU映画3作品にスパイダーマン出演」のバーター契約を締結。
・この契約により、スパイダーマンはディズニー製作の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、そして歴代興行収入1位に輝いた『アベンジャーズ/エンドゲーム』に登場。ディズニー側も、一定の果実を得る。
・しかしながら、新契約の勝者はソニー。単独2作目『スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム』世界興収は10億ドルを突破、ソニー歴代最高の興行収入作品となる。
・ディズニーは「アイディアと労力を提供しながら、ほとんど収益が得られない」不満が蓄積。ソニーも『エンドゲーム』公開前の機密保持のため『ファー・フロム・ホーム』のプロモーション制約が生じたことに不満を持っていた。
・それらを背景にディズニーは「スパイダーマン単独作品だけでなくヴェノムシリーズも興収を折半とする」契約見直しを提案するが、当然ながらソニーは拒絶。するとディズニーもケヴィン・ファイギをスパイダーマン製作担当から離脱させる表明を行うなど、利益配分を巡って両者は決裂。2019年8月にスパイダーマンのMCU離脱が決定的となった。
・しかしながら、これらの報道がなされると、多くの映画ファンやキャストから、MCU提携継続の声が高まり、主演のトム・ホランドが両社経営者への仲介も奏功し、「ディズニーは製作資金の約25%を負担し、収益の約25%を受け取る」「グッズ収入はディズニー」とする新契約にて、本作の製作が決まった。
・本作は、改定契約後に製作された最初の作品であるが、提携解消も視野に入れていたソニーが過去に自社製作したスパイダーマン作品のキャラクターコンテンツ活用を想定していたことから、スパイダーマン作品としての集大成作品となった。

③結び…本作の見処は?
ヒーロー映画史上、最高峰作品。
「サム・ライミ監督版」3作品と「アメイジング版」2作品を先に鑑賞しておくと、感動レベルが変わるはず。

◎: 本作登場キャラクターが過去作品と同じキャストにて再終結。過去のMCU26作品のエッセンスも程よく保ちつつ、ソニー製作のスパイダーマン5作品の後日談が濃密に描かれている。鑑賞者の世代ごとに「親愛なるスパイダーマン」は異なるはずで、それぞれ本作の感じ方も変わるはずだ。
◎:「君こそアメイジング!」…終盤に訪れるMJの危機シーンなど、低人気と言われる『アメイジング・スパイダーマン』シリーズのオマージュは胸を打つ演出。過去作品の評価を高める内容となっている。
◎: 従来とおりコメディ・テイストを踏襲も「泣かせのポイント」が多すぎる。少なくとも5ヶ所は涙腺崩壊ポイントが存在。
◎: とにかく画面から伝えられる情報量が多く、1回の鑑賞だけでは物足りない。「ネタバレチェックなし初回鑑賞」をしたあとに「復習の再鑑賞」が望ましい作品。1回の鑑賞では、過去作品のテーマ曲の使われ方まで気が回らず。
○: ヴィランが多すぎて、戦闘目的が散漫となるなか、4度目のグリーン・ゴブリンを演じているウィレム・デフォーは、No.1ヴィラン俳優の面目躍如を発揮。
○:NETFLIXが過去に製作したドラマシリーズ「Marvel's デアデビル」主人公のマット・マードック弁護士が本作に登場。ディズニーが映像権獲得後初となる。
▲: ドクター・ストレンジを除きスパイダーマン最大の危機に誰も駆けつけないアベンジャーズ陣営。スパイダーマンに対するバッシング描写も極端で、もう少し現実的なトーンにしても良かったかも。
▲: 期待値を大きく超える作品であるが、ポスト・クレジット・シーンは物足りない内容。前年公開の関連作品にて期待値を上げておきながら、ほぼゼロ回答。


ネタバレチェックで、ストーリーを事前認識した状態で鑑賞したが、大変感動しました。劇場鑑賞作品でこれだけ感情を揺さぶられた作品は過去になかったかもしれません。
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