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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのpikaのレビュー・感想・評価

3.0
公開日のレイトほぼ満席。地方のシネコンでは公開日でもスッカスカなことが多い中で前も端も満席だったのは「スターウォーズ」以来かも。世間の期待値をうかがわせる。

詰め込まなければならない要素が多すぎて綺麗にまとめることにのみ終始した印象。前2作はかなり好きな作品なんだが、今回は前評判やら噂やらで期待の度が過ぎたせいか、ここまでしたのにこれか、っていうがっかり感すらあった。良く出来てるんだけど、良く出来てるからといって面白さに直結するとは言えない好例に思える。個人的には3部作の中で一番刺さらず。
「エンドゲーム」と同じ系譜で、映画の面白さよりもネタで楽しませようとしている。後半延々と湿っぽくて、しかも台詞やら役者の涙目やらで見せてるだけで演出で盛り上げている様子は見えず、置いてけぼりを食らってちょっと白けた。
ファンサービスもいいんだけどファンサービスのための映画になっているところも引っかかる。細かいところまで配慮し、ストーリーに絡め、小ネタをあちこちに散りばめて完璧に徹底されたエンタテインメントは、ここまで作られればぐうの根も出ないが、それゆえにそれがため、美しく統制されることが到達点とばかりに、はみ出た部分やそれ以外の魅力が見えなかった。パズルのピースがかっちりとハマる快感に感動できる時期を過ぎてしまったのか、単なる老いか、計算され尽くされたファンサービスとお約束に面白味を見いだせず。良くも悪くもMCUの一本としての存在感が大きく、エンディングを迎えてようやくオリジンが終わったような、比較対象があればこそが良い方へも悪い方へも行ったような後味が残った。
ここまで詰め込まなければならないという足枷ゆえと思いたいがどうなんだろうね。ちょっとマーベルへの満腹感が再来してきたかも。

サム・ライミの「ドクター・ストレンジ2」が俄然楽しみになってきた。がんじがらめな要素をどう、サム・ライミが調理するのか。サム・ライミもそれに押しつぶされるのか、やっぱ違うなと思わせてくれるのか。
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