Kawaguchi

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのKawaguchiのレビュー・感想・評価

4.2
「癒す」ことと「大人になる」ということ。
MCUは、フェーズ4を通し一貫して、「癒す」物語と向き合ってきました、そして、その集大成の様な映画が本作です。そして、巨大化したMCUナラティブに同一化されず、スパイダーマンが、描いてきた普遍的な少年が大人になる話としても完成されています。ある解釈としては、大きな喪失を受け入れたものが大人になるというものがあります。最近では、Amazonオリジナル「サウンドオブメタル」が当にそういう物語でしたね。「耳が聞こえなくなること」を青春に置き換えて、大人になることきついての普遍的な映画に昇華させました。

トムホランド版スパイダーマンでは、ベンおじさんのパートをすっ飛ばし始まったシリーズでした。子供のまま、確固たる道徳心がないまま、シリーズが続いていくことに、少し違和感は感じていました。本作は、そんなトムホランド版スパイダーマンの物語にも、決着をつけ、そして、サムライミ版から商業的成功を収めたこの20年のスパイダーマンシリーズを優しく包み込む物語になっていて、とても良かったです。

ただ、本作は、スパイダーマンが守るべき「市民」が描かれていなかった点が心残りです。新3部作?5部作?には、大人になった親愛なる隣人が、守るべき「市民」を丁寧に描くシリーズになってほしいなと願います。
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