このレビューはネタバレを含みます
よくも悪くも、今この時期のMCUの『スパイダーマン』作品でなければ撮れない作品なのは間違いない。ファンサービスという点では『アベンジャーズ/エンドゲーム』に匹敵するだろう。過不足なくスパイダーマン愛を詰め込んで、誰もが望む展開を実現したスキのない作品……だが、ちょっとあまりにもむりやりマルチバースのスパイダーマンという要素を詰め込んだ結果、だいぶ駆け足で無理のある話になっているのも事実。
結局ピーター・パーカーが悪いのではとか、話が進んでいないとか、脚本の問題を指摘すればキリがない。シークレットにされているいちばんのファンサービス要素も、企画ありきで、メタ的な発言が多すぎてちょっとくどかった。『スパイダーマン；スパイダー・バース』が絶妙なバランスで作られていたことがよくわかる。
これまで様々なクロスオーバーと映画ごとの連動を描いてきたケビン・ファイギ傘下のマーベルだからできた企画ではあるが、その功罪も詰め込まれていた問題作だった。
しかしレベルが低いわけではないし、これまでMCUを見てきた人なら見ないわけにはいかない映画でもある。
