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ファースト・カウのsilkのネタバレレビュー・内容・結末

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます


西部開拓時代の話ではあるが、"イギリス系移民VSネイティブアメリカン"という単純な構造ではなく、様々なヨーロッパ系移民、中国人移民、ヨーロッパ系移民とネイティブアメリカンを通訳する女性、ネイティブアメリカン、ロシア人、等が登場し、グローバル化が進んだ昨今と大して変わらない混沌を描き出している。
ルーを助けたクッキー、クッキーとルーを助けたネイティブアメリカン、ネイティブアメリカンの女性と通訳の女性のシスターフッド。人間は社会構造に絡みとられながらも、それを超えて友情を育む力があるのだという希望を感じさせる。


とりあえず、牛が可愛すぎて悶絶。
牛→クッキーとルー→ファクターという搾取の再生産/循環が起きている様は現代社会の模倣でもありガックリ来るんだけど、牛がクッキーに懐いてたり、クッキーが牛に話しかけて牛が乳を絞られる時に大人しかったり、といったシーンでほっこりせざるを得ないのは、動物の力か…。


OLD JOY(2006)とFIRST COW(2019)が対になった連作に思えるのは、どちらも"男性二人の友情"を描きながらも、前者は"刹那の友情"であり後者は"永遠の友情"だから。しかも、移動/旅は友情が失われた状態であり、定住は友情が育まれている状態だというコントラストも効いている。二人は再会できずクッキーが一人で死ぬエンドも有り得たのに、二人で"定住"していた家で再会して、同じ場所で並んで死ねたのはハピエンなのでは、とすら思った。


構造理解したくなるけど、なんだかんだ言っても
最初にルーの家にクッキーがおじゃまするシーンで、ルーが薪を割ってくれている間にクッキーがササッと箒で床を掃く、あのシーンが友情の全てな気がするんだよな…
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