このレビューはネタバレを含みます
あまりにも美しいラストシーン。
『キッズ・リターン』のラストを思い起こさせる。
冒頭のシーン。
寄り添う2体の白骨が発見される。
この冒頭によって、最終的な2人の死が確定する。映画のなか2人は、「死に向かって」生き始める。
そしてラストシーン。
2人は横たわる。
数分前にハンターが追ってきているカットもあった。冒頭のシーンもある。
ここで2人は死ぬのだ。
しかし、まさにその瞬間において、死を予感させる描写はない。
足音もしない。銃声が挟まることもない。
彼らはただ横になり、しばし休むのだ。
映画はそこで終わる。
この瞬間。
画面に映されないわずか数分の余白に、彼らの生の、無限の可能性のすべてが凝縮される。
やがて死ぬことを予告され、そしてわずか数分後に死ぬとわかっていながら、それでも彼らの可能性は広がり続けている。そこに、映画の、そして、人間の可能性がある。
