よねっきー

ファースト・カウのよねっきーのレビュー・感想・評価

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
4.2
おれが「従来の西部劇」も「従来のライカート」も大して踏まえられていないからかもしれないが、退屈した。展開がゆったりなのもあるだろうけど、映像的にも目瞑ってんのとほぼ変わらんような暗い画面が長く続き、眠い。物語が本題に入るまでがさすがに長すぎるんじゃないか。

おれ『リバー・オブ・グラス』は結構好きなんだけど、あの映画の何が良いって、まず76分という尺が良いんすよね。もう十分描けたな、というところで引き下がれる潔さがあの映画にはある。ショットも編集も端正なだけでなく尖ってて強い。
さてそこで、今回この物語が120分の尺を必要としたか? と考えると疑問がある。もっとスリムに仕上げられたんじゃないか? たしかにおれはゆったりした静かな映画が好きだけど、それは必ずしも展開の遅い映画が好きというわけではない。展開が早くてもゆったりした映画ってあるもん。映像も綺麗に仕上がってはいるけど、綺麗なだけのようにも感じられてしまう。ここから映像に映っている以上のものを感じ取る感性はおれにはないっぽい。

最初の引用句と、ファーストシーンで掘り起こされるアレが、もう映画を全て明快に予感させてしまうのも退屈さの一要因。ラストショットも中途半端なところで切れるから面白いはずなんだけど、その意外性よりも「ようやく繋がったか」って印象の方が強い。だって映画としては、ドーナツ売り始めた時点でもう全然ファーストシーンに繋がってたもん。おれはもっと意外なとこに転がっていく映画が観たい。
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