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ファースト・カウのsinginggizmoのレビュー・感想・評価

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
3.8
冒頭につながるラストシーンに、衝撃と余韻が残った。

屈強な肉体を持っているわけでもなく、頭脳明晰で戦略性があるわけでもない、どこにでもいそうな男2人の友情の物語。
これが思いがけずサスペンスフルでハラハラが止まらなかった。
冒頭のシーンでだいたいの結末が予想できるにも関わらず…!

なぜかって、この男性2人がめちゃくちゃ頼りないんですわ。
近年で男の友情を描いた作品で思い出すのがRRRだが、ビームとラーマとは対極にいる2人、クッキーとキング・ルー。
彼らのやることなすことがずっと頼りなくて、間抜けで不安になるのだ。
ミルク入りのドーナツをつくるために、真夜中に仲介商の屋敷に牛のミルクを盗みに行く2人。見張るために木に登るのにもひと苦労だし、(そもそも木に登る必要あったのか?)乳搾り用のイスをしっかり用意して、のん気に絞ってるし、牛はクッキーに懐いちゃうし。

写真や映像が残ってない西部開拓時代の世界が、細部までリアリティーにこだわって表現されていて、映像の見応えがある。
森や川の自然の風景が美しく、人々の暮らしの風景がとても丁寧に作られている。
何気ない家事や作業をするシーンが妙に詳細に映されているのが特徴的で、当時の暮らしを感じれたり、キャラクターの表現にもつながっているなーと思った。

アメリカって元々は馬や牛がいなかったんだなー。
ファーストカウの貴重さがよくわかる。
茶色い毛並み、つぶらな瞳の雌牛さんがかわいい。
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