Jun潤

ファースト・カウのJun潤のレビュー・感想・評価

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
3.1
2023.01.06

A24作品。

アメリカ西部、アリゾナ州。
ある日少年は、埋葬されていた2人分の遺骨を見つける。
それらが生きていた頃、アリゾナ州では開拓が進んでいた。
罠猟師に料理人として随行していたクッキーと、ビーバーの脂を求めて中国からやってきたリーは、運命の出会いを果たす。
資金や環境のために抱いてきた夢も叶えられずにいた2人の前に現れたのは、アリゾナ州にやってきた1匹目の牛。
彼らはその牛から搾った乳を材料の一つにして、ドーナツを作って販売し始める。

うーん、長かったなって感じ。
仕事として、夢を見て、未開の地に来たもののなかなか成功できないでいた2人の男が出会い、ファースト・カウと出会いミルク泥棒をすることで一攫千金を夢見るも、夢半ばで犯行が露見し逃走の道へ、そして冒頭の場面に繋がると。
もっと短く濃くまとめるか、他でドラマを展開して盛り盛りにするかできたんじゃないかと感じずにはいられませんでした。
実際に起きた事件を題材にしていたとしても映画にするほどのものでもないと思うし、なまじ冒頭で2人の結末を描いてしまったものだから、その過程を楽しもうにも終盤で場面転換が続いてハラハラよりもヤキモキの方が勝ってしまいました。

あとは時代設定が曖昧で、歴史に詳しい人にとっては違和感のない描写なのかもしれませんが、なにぶん開拓時代に疎いもので、アリゾナ州の文明の発展具合や他国の状況なども分からないまま観ていたので、そんなにみんなドーナツの材料を知らないのかとか、貝殻も貨幣の一つになっていましたがそれ本当に価値あるの?みたいなもので物々交換していたことも気になりました。
時代背景を淡々と描くのか、2人の男のサクセスストーリーとして描くのかによって描写の具合は変わるのかもしれませんが、今作では前者の方に振っていたのか安易にモノローグやテロップを入れることもなかったので、個人的にはそこが合わなかったかなと。

A24といえばシリアスやスリラー、というイメージがどうしても先行してしまいますが、本質的には新進気鋭の監督の作品にも配給することだと思うので、監督の今後に期待していきたいところですかね。
Jun潤

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