吉風

ジャンゴ 繋がれざる者の吉風のレビュー・感想・評価

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)
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西部劇というよりは黒人映画だが(というかまんまタランティーノ版「マンディンゴ」)、非常に楽しめる映画。本当にものすごく楽しめる。だが、それだけという気がしないでもないのが危うい感覚。前作「イングロ」と同じ方法論で撮られているために(イングロの「ナチを殺して客を呼ぶ!」が「黒人差別ヤローどもを殺して客を呼ぶ!」に置換しただけ)、悪い意味でこなれた感じになっているのが、この微妙な感覚の元だろう。正直、「こういう脚本と演出でやるんなら、以降は他人の脚本でバンバン撮ってくれた方がうれしいなぁ」と思った。ストレートなアッパー系映画を、タランティーノはこんなに上手く撮れるようになった!と素直に喜ぶべきなのかもしれないが。サミュエル=L=ジャクソンの顔面大アップと、馬上の二人をスローモーションでカットバックするシーンがいちばん好き。デカプリオは楽しそうに演じていて悪くないのだが、よりによって死ぬ瞬間にもっともらしいシリアスなしかめっ面をつくるので、なんだかなぁ。
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