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返校 言葉が消えた日のshihoのレビュー・感想・評価

返校 言葉が消えた日(2019年製作の映画)
4.2
新年一作目はコレ!観たいな〜と思っていたらネトフリで配信されたので早速観た。

元になっている台湾のホラーゲーム「返校 Detention」もプレイ動画を以前見たけど最終的に雰囲気しか覚えていない状態で挑み、思っていたより内容が良かったので観賞後に再度ゲームを復習したのだけど、映画はかなり原作に忠実に作られていた。とは言っても謎解きホラーゲーなので脚本や展開はいじりつつだけど、重要なアイテムやシーンは極力出てくるし、辻褄も合ってるし。ゲームはプレイすると4時間前後くらいかかるので、それと比べると103分で内容を網羅する構成としてはかなり良かったと思う。

出てくる化け物達の作りは大体笑っちゃうくらいチープで、90〜00年代くらいのホラーみたいだったんですけどメインはそこじゃないので許せます。(まぁボロが出るから出演シーン削れw!とは思ったけど)

良かったのは、ゲームでは所詮"絵"だったキャラクター達を実在の俳優が演じることで現実味が増したこと。ゲームは横スクロールでキャラクターよりも背景の圧が強い。とても雰囲気のある作品なんだけど人物の心理描写はひたすら主人公が回想と自問自答している部分がほとんどで、更に少し表現が詩的なもんだから感情移入はしづらかったので。そしてゲームで言うとBAD END→TRUE ENDの内容を汲みつつ少しだけオリジナルを含ませたことで上手くテーマに沿ってまとまったと思う。

一番書きたいところはミステリー部分の真実のネタバレになるのでコメ欄に書くけど、俳優が皆適役で素晴らしかったし(※チャン先生の、優しくも真っ直ぐな眼鏡の奥のタレ目と腕の太さ×服装が正義だったとここに伝えておきます)、原作がただ怖がらせるホラーゲームの枠を超えて「台湾にこんな時代があった」ということを若い世代や世界に説教臭くなく伝えられる良作なので、その解析度を上げる実写化は大いに意味があったと思う。ゲームと本作それぞれいい所があるので、どちらスタートでもいいので両方見てみるとより理解が深まります。

EDの曲がまた美しくも切なく物悲しいメロディーと歌声で新年早々胸に残りました。もっと台湾作品観てみたいですね。
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