ふとまき

返校 言葉が消えた日のふとまきのレビュー・感想・評価

返校 言葉が消えた日(2019年製作の映画)
4.1
言葉を失い、自由を失い、重いトラウマを負った人間は生と死の狭間を彷徨い続ける。繰り返される悲劇によって永遠に苦しみ、救われることのない魂がほんのわずかでも救われるにはどうすればいいのか?
苦しみの中で他者への優しさや施しの気持ちを表した時、彼らが救われたような表情をしたように見えた。それが彼らの救いになるのだろうか…。そんなことを感じる作品でした。
設定が曖昧で、誰の夢なのか、あるいは現実なのかよくわからないまま鑑賞を続け、途中から設定のことはどうでもいいやとさえ思うようになったが、終盤にファン・レイシンが過去の出来事を思い出せなくなっていたことがわかった時に、作品世界が重大なトラウマを負った人が感じる心象の世界を表しているのだと思いました。混沌とした生き地獄のような世界です。あのような混沌とした世界に生きているのは現代にも沢山いらっしゃることを思えば、他人事とは思えない作品です。
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