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プリズン・サークルのyuzameのレビュー・感想・評価

プリズン・サークル(2019年製作の映画)
4.5
拓也君は、本当に賢そうな青年だった。
自分をどうすれば守れるか。
小さな頃から自分で考えて、
自分が壊れないように生き抜いてきた人。
帰る場所、家が無いと言っていた。
ここに来て随分前から
感情が無くなっている事に
気がついたと。
母がいなくなった時も『そうなんだ』
週1で公園で寝ていた時も『寒いなぁ』
自分の周りで起きた事に
感情が動かなくなってしまっている。
でもそのことには泣きたくなると。

真人くんの、窃盗がどうしても悪い事だと
認知できないという話。
そういう事はあるのだろうと思った。

拓也君の創作した
『ある男の子がいました』は
びっくりした。
その男の子は、嘘しか言えない子。
そのせいで
どんどん周りから人が居なくなっても
その事でその子が
どれだけ傷ついていても。
嘘しか言えない。
それは自分が生きていくために
母親が魔女と交わした契約のせいだ。
助ける、生きる条件が
『決して真実を話さない」だから。
そして、嘘しか言えないばかりか、
その約束のせいで生き続けてしまう少年。

出所した人達が
交流を持っている事に驚いた。
罪とその代償の刑務所を忘れるのではなく
思い出すために集まる。
二度と罪を犯さないと言う
気持ちがあるから
そしてその罪の総括ができているから
できる事だと思った。

砂絵による回想シーンのアニメーションも
素晴らしく良かった。
無彩色なのに温かみがあって、
暗さもあって。

そして罪を犯すところまでいかなければ
こう言う機会を与えられずに
育つ人達がいるのだと思うと、
もっと前に何とかならないのかな?と
思った。

2023.12.17
イメージシアターフォーラム
2020年以来、2回目の鑑賞。
また機会があれば見たい作品。
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