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プリズン・サークル

プリズン・サークルの作品紹介

プリズン・サークルのあらすじ

「島根あさひ社会復帰促進センター」は、官民協働の新しい刑務所。警備や職業訓練などを民間が担い、ドアの施錠や食事の搬送は自動化され、ICタグとCCTVカメラが受刑者を監視する。しかし、その真の新しさは、受刑者同士の対話をベースに犯罪の原因を探り 、更生を促す「TC(Therapeutic Community=回復共同体)」というプログラムを日本で唯一導入している点にある。なぜ自分は今ここにいるのか、いかにして償うのか? 彼らが向き合うのは、犯した罪だけではない。幼い頃に経験した貧困、いじめ、虐待、差別などの記憶。痛み、悲しみ、恥辱や怒りといった感情。そして、それらを表現する言葉を獲得していく...。

プリズン・サークルの監督

原題
製作年
2019年
製作国
日本
上映時間
136分
ジャンル
ドキュメンタリー

『プリズン・サークル』に投稿された感想・評価

KUBO

KUBOの感想・評価

5.0
今日は文化庁映画賞受賞記念上映会にて大賞受賞作『プリズン・サークル』を鑑賞。

素晴らしいドキュメンタリーだった。ちょっと信じられないくらいの、奇跡の瞬間を見せてもらった。

最初「日本で初めて刑務所内の撮影が許された」作品と聞いて「暗い映画だろうなぁ」と思っていたのだが、見始めて先入観は180度変わった。

まず施設がきれい。個室のカギが自由に開け閉めできないことを除いて小綺麗な宿泊施設のような明るく清潔感がある。さらに食事の配膳がロボットによる完全自動化されているのにも驚き。病院の食事のトレーがたくさん入っている配膳台が自動で独房の前まで移動してくる感じ。

ここは「島根あさひ社会復帰促進センター」。2000年代後半に設立された受刑者の社会復帰のための施設だが、この作品のテーマは施設のハコじゃなく、そこで行われている「TC」と呼ばれる更生プログラム。

刑務所の受刑者と言えば無口であることが予想されるが、本作の受刑者はしゃべる、しゃべる。この「TC」というプログラムは、受刑者がお互いに「話す」「聞く」ことで、今まで言えなかった、自覚できなかった自分自身を発見し、ひいては自分の犯した罪に向き合わせる。

サークルを作ってグループ内で自分のことを話すのは、アメリカのドラッグやアルコール中毒の人たちの集まりでよく目にするが、刑務所内でこれやってしゃべるのか(?)と最初はやはり懐疑的だったのだが、これが本当に胸に響く思いが吐露され、聞いていて彼らの過去の重さにこちらが苦しくなる。

DV、ネグレクト、いじめ、親に捨てられる。我々が普段「ひどいね」などと言って「映画」の中で見ているような現実がそこにある。だからと言って彼らが犯した罪が許されるわけではないのだが、少なくとも彼らの多くが生育過程にトラウマになるような辛い、異常な過去があることは確かだ。

また、この個々の独白のシーンを効果的にしているのが砂絵を使った独特のアニメーション。ややもすると暗くなりすぎる内容を見やすくし、ただかえって悲しく印象的にもしている。

そして私が一番驚愕した「ロールプレイ」の場面。受刑者がグループを作り、ひとりは自分自身である「加害者」、他のメンバーはその事件の「被害者」に分かれてロールプレイを行う。この活動で、加害者も被害者もお互いに涙するほど入り込んで語り合う。こういう教育プログラムにここまでチカラがあるのか! ヤラセじゃない、奇跡の瞬間を見せてもらった気がした。

ここまでの作品にするためにどれだけカメラを回し、どれだけの素材の中から編集されたのか。坂上監督の情熱には頭が下がる。

「むかしむかし、あるところに、嘘しかつけない男の子がいました」

作品のキーとなるこの受刑者の作った童話は、完全に受刑者自身の書いたオリジナルだそうだが、この「嘘しかつけなかった男の子」の明日へとつながる希望と共に作品は締め括られる。

たくさんのことを考えさせられる、素晴らしい作品だった。

坂上監督とは数年前、宮古島のパニパニシネマで前作『トークバック』の上映会でお会いして以来のご縁だが、当時から伺っていた刑務所にカメラを入れてのドキュメンタリーという構想がこのような素晴らしい作品となり、令和2年の大賞を受賞されたというのはうれしい限り。

12月5日からは文化庁映画賞大賞の受賞を記念して、ポレポレ東中野での上映会が予定されている。ぜひたくさんの方に見ていただきたい素晴らしいドキュメンタリーです。
ピピン

ピピンの感想・評価

3.9
受刑者たちを見ていると、自分と共通する考え方や感じ方を持つ部分が多くあった。

育つ環境によっては、なりえた自分を見た気がする。

たった50人の更生に、これだけの人が動く。それでも完全には支えれない。

人を支えるということの大変さと、その活動を支援や理解によってカバーする大切さを教えられた気がした。

刑務所のあり方や刑罰のあり方を考えさせられた。
ほんとに、彼らの自業自得だろうか。。
矢吹

矢吹の感想・評価

3.8
プリズンサークルことTherapeutic Community(セラピューティック・コミュニティ) 略して、TCの紹介になります。
割とストーリー重視なドキュです。
主題と着地がしっかりしとる。
そして、演出として。ドキュメンタリーというには、ちょっと脚色しすぎてた感はある。
2年の交渉の末にたどり着いた、カメラが未踏の世界。らしいので、そこは素直にすごいし、きっと、より多くの人に届けるにあたって、見易いだろうという工夫をたくさん用意してくれているんだろうけれど、作品が軽くなっちゃう部分も事実としてあったんじゃないかい。
少年時代を何度も描く、砂のイメージとか。
あれ、いらないっちゃいらないし、スマホらしきものが登場したのは笑っちゃったな。
絶対に、当時はガラケーだろ。
そんなスマホ案件はあまりに露骨だけど、そうでなくとも、イメージの提示として、彼らの人生との明確なズレってのは生まれるだろうし、完全にあの大切な部分がフィクションに喰われてしまう可能性すらあると思う。
純粋な本物の言葉とか、語る姿とか、せめて当時の写真や映像の断片だけで語られるからこそ、こちらから寄り添ったり想像したりして、彼らの人生に思いを馳せたりすることにとても大きな意味があると感じるからさ。
本来的に、ズレが生まれないことなんてあり得ないんだからこそ、他人が作り出した規定のイメージを提示する必要はないのかなと考えます。
章立てに関しては、入れてもいいとは思うけど、タイトルが違う章で被ってくる感じとかは、かなり邪魔に感じちゃった。
あと、寓話の雰囲気を押してくるのも苦手だった。
そりゃあね、
そもそもドキュメンタリーとは、
一つ残らず、選択された編集されたもんですよ。
それでも描き方とか、姿勢って、色々あると思うんだなあ。
あるんだなあ。

内容は、アメリカでは2006年から取り入れられているらしい、有志の受刑者を集めた、セラピーのお話。罰と償いの意味を考えさせれくれる話。
舞台は、通常の社会復帰のための刑罰の時間をそのセラピーに当てようという試みをしている官民一体型の島根県の刑務所です。
日本ではまだかなり極々、めちゃくちゃ極めて稀な形らしい。
その中で彼らは、自分が犯した罪について、孤独の中ではなく、他者との関わりを通じて、向き合っていくし、向き合わざるを得なくなる。
それでも俺は幸せに死にたいとか。
忘れてしまうことを恐れているとか。
罪の意識の芽生えとか。
被害者の未来とか。
実際の被害者の方々がみたら、どう思うのかな。生温いことやってんじゃねえ。と思う人ももちろんいるだろうな。と感じる部分はもちろんあったけど、
あの活動はほん一部で、それ以外の途方もない普通の囚人生活が待ってるわけだし。
罪に対する罰って、彼らの時間をただただ奪うことだけにあるとは思えない。
日本では全く普及していないこの罰の形によって、彼らは償いの意味を、少なくともこの作品で切り取った人たちは、ちゃんと考えることができていた。収監当時は、なにが悪いことだったのか理解していないと語る人達もいたなかで、この環境を通して、罰のその先の償いを想像していた。
一番怖しかったのは、むしろほかのところは私語完全厳禁らしいということ。
前述したような罪の意識のない人が、そんな孤独の中で、本当の意味で償いについて考えることなんてできるのか。
そう考えると、罰にはたくさんの重さがあって、しかるべきなんだけど、本質的な多様性も、もっとあってもいいんじゃないのかな。
償いとしての罰、奪うだけの罰もあって、
償いに向かうための罰、教育としての罰もある。
罪に対して、何のための罰であるべきなのか。
これは法律上だけにとどまらない大事な問題だと思う。 
現に、今回、焦点が当てられた4人の青年受刑者の全員の共通項は少年時代に親から虐待を受けていたこと。いろんな形の、広義の虐待を受けていた。
そもそも、罪を犯す人が、みんながみんな親の愛情を感じられなかった人なんてことは絶対的にありえないので、この切りとり方自体に問題もあるとは思うけど、やはり今回は物語としてのドキュメンタリーなので、話を戻すとして、
今回の4人は、親から、教育ではなく、罰だけを受けて育ってきたわけですよ。
そして彼らは捕まって、刑務所にやってきた。
そんな彼らになにが必要か。
紛れもなく、同じような罰としての罰ではなく、
教育としての罰なんだと思います。
重要だから繰り返させていただくけども、
その教育が施されるのは、従来の罰に、組み込んでいるという前提です。
彼らは刑期の長さは様々な中で、半年から2年ほどを、TCユニットと呼ばれる居住区で生活をし、刑務作業がない時間帯を使って、週に12時間をその対話に使う。
実際、TC出身者の再犯率は、
他と比べて半分らしい。らしい。
そして、このプログラムを受けられる定員は40人である。もっと普及してもいいと思うけどな。
そりゃあ、この再犯率の低さは、受ける人を選んでる段階にもカラクリはあるに違いないのだが、
シンプルに、刑務所の形として、
償いって、本当に時間をかけないといけないものだし、ただ時が過ぎるだけじゃ、なお意味はないと思うから、こういう時間を罰に取り入れることは大切だと思う。
そしてエンドロールへと向かい、
堂々と自ら宣言するこの作品の主題は、
「暴力の連鎖を止めたい全ての人へ」
概ねこういうことらしい。
この作品の中には、TCを出た人たちのその後の生活もちゃんと描かれています。
彼らは出所した後に、定期的に集まる機会がたくさんあるようです。
参加する全員がうまく生きていけるようになったかというと、まったくそういうわけではない。
まっとうに生きることを楽しむ人もいるし、
再犯と立ち直りの狭間で揺れてる人もいるし、
彼らの中には、あそこで感じたことを時が立つと忘れてしまうと語るものもいる。
人によっては、そういうもんなんだとも思う。
これは仕方がない部分がある。
だからこそ、
あのTCが、そんな、出所後のコミュニティを、居場所を作ってることには本当に意味がある。
何度も言うけど、程度の差こそあれ、9割を超える受刑者に、これがないというのがね。
なくても立ち直れる人もいるし、あってももう一度頑張らなくてはならない人もいるとは言ってもね。
そんなこんなで、演出や物語において、
まじで綺麗な話にしてるなあという感じです。
そもそも、もっと、人間の汚い部分が見たいなと思って足を運んだわけだけど、
そんなものはほぼなかったし、
冒頭の参加者の規定の説明の中で、(重度の精神疾患者は除く)という文言が入っていて、大いにガッカリもしたものだが、
つまりは、この作品は1から100までが、
暴力の連鎖を止める可能性のあるTCの素晴らしさを語る作品なんですよね。
これはこれで勉強になった。

作品から少し離れた話。
ほんとにたまたま、最近の作品選びの中で、直面するんですよ。子供を産むということの罪に。
このままじゃ、恐怖の可能性でしかないわ。
「悪魔の卵、赤ちゃん!」
って言ってみたかっただけです。
等しく、赤ん坊に罪はないはずだからね。以上。

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