このレビューはネタバレを含みます
「腰抜け二挺拳銃」ではまがうことなき「腰抜け」であったが、それだからといってこれから先何でもかでも「腰抜け」がタッツクでは、ボブ・ホオプ先生もちよっとやりきれまい。これなど、「腰抜け顔役」とは、どう見ても名は体を表さない悪題。
ここで我等がボブ先生のごらんにいれますものは、さしずめコチラで例えると、百円札の一枚も入ればちょつと焼酎を飲もうかというシガナイ競馬屋渡世の身が、ギャングの眼をぬすんであどけない孤児を育てる涙と笑いの物語。ドッジ・ライン下、今や「相当の」お方までが「焼酎」をおたのしみになろうという御時世に、アメリカにもこんな人世があると知るだけで忽ち気が楽になるような、この「可愛いマーカちゃん」焼酎版を演ずるボブ・ホオプの味たるや嬉しいきわみ。
オオヴァア・アクトの微笑ましさという逆説を創始しただけでも彼の剽軽味はタイシタものである。
『映画評論 7(6)』