kojikoji

リチャード・ジュエルのkojikojiのレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
3.8
2019年作 監督クリント・イーストウッド

1996年アトランタオリンピック開催中の爆破テロを題材に、クリント・イーストウッド監督が司法、メディアのあり方を問う。地味な役者を揃えて、だから現実みがあって、派手な演出もなく、しかし最後まで緊張感が途切れず、飽きさせない。

 FBIの強引な捜査、メディアの記事に対する謙虚さの欠如がいかに罪のない人々を苦しめることになるのか。繰り返しこうした警告がなされているにもかかわらず、全く改められないのは、日本においても同じだ。平気で嘘を言い続ける政治家がのさばり、メディアは都合の悪いことは平然と無視し、政権に擦り寄り、一方では弱い立場の人なら、徹底的に叩き続ける。行き場のない怒りが前政権からずっと心のどこかで燻っている。直接関係のある話ではないが、この映画を見て、改めてそういう思いがふつふつと湧いてくるのを感じた。

 クリント・イーストウッド監督作品は芯が一本通っていて、映画の良さをしっかり教えてくれる。偉大な監督の一人。
kojikoji

kojikoji