とむ

リチャード・ジュエルのとむのレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
3.5

正直者がバカを見るいまの時代に、バカ正直を貫いて自分の名誉を取り戻した話はとても気分がいい

主人公がとても不器用だけど他人思いで正義感に溢れるいいキャラクターだった
私はこういうタイプの人と友達になりたいし、できる限りこういう生き方がしたい


ところでこういう伝記物は事実と創作が入り乱れてどこまでを史実として信じればいいのか分からないのが厄介だけど、
どうにもスクープの鬼みたいな女性記者がよくあるマスメディアのステレオタイプを体現していて、やりすぎじゃないの?と思ったところ、やはりこの人の描写は問題視されてたのね

あんまり考えずに映画を観たら感想が「メディアはクソだ!」となりそうだけれど、この映画だってある種のメディアですよね
メディアから伝わってくるストーリーを真に受けてしまったらこうも簡単に人は誤った印象を抱いてしまうのだと改めて思う

私はこの事件についてはむしろなぜFBIが彼を犯人と疑ったのかを映画にしてほしかったなぁと思う
FBIの立場、あるいはFBIの動きを追って分かったことを(それがどんなハレーションを生むかを知らずに)次々報じるメディアの立場に共感してしまうような作りのストーリーに踊らされてみたい
そうやって多角的な視点から事件を観て、人の「思い込み」の怖さを身に染みて感じてみたいと思った
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