ゆずきよ

リチャード・ジュエルのゆずきよのレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
4.4
観ていなかったイーストウッド監督作品の一つ。
存在は知っていましたがあらすじは大まかにしか把握していません。
事実を元にした作品との事ですが映画なので完全なノンフィクションとは考えずに観る事とします。

物語は、仕事に誇りを持っている警備員がオリンピック会場で爆弾を発見し、第一発見者となった事で被疑者とされるという話。
行き過ぎた正義感は時に厄介者とされてしまうよ。
出来事が起こる前に日常の様子を見せる事で背景が分かり、よりこの後の出来事への恐怖感が増しました。
何より爆発シーンが怖い。
当初は英雄扱いされるも風貌や過去の経歴から犯人として扱われてしまう。
掌を返す人々が爆弾より怖いです。
ただ主人公に関しても完全な善では無くて、余計な事は言うし変に頑固だし。
FBIや記者だって見方を変えれば職務を全うしただけとも言えるのかな。
でもいつもより悪役色は強めなのが少し残念。
終盤の母親の言葉や主人公の独白にはグッと来ました。
これでこそイーストウッド映画。
最後に関しては良いとは言えないけれど良かったねという終わり方でした。

昨日観た『流浪の月』もそうですが無自覚の暴力は本当に恐ろしいです。
結果的には良かったのかも知れないけれどデジタルタトゥーとして一生付いてきてはしまうから。
結末だけで言えば同じく冤罪を描いた『それでも僕はやっていない』がとても衝撃的で印象に残っています。
あの映画の後はしばらく人間不信になりましたので。
それにしても何故か私が観る作品の警察組織ってみんな腐ってるんだけど。
日本警察は横領するしメキシコ警察は麻薬組織と取引してるしICPOは隠蔽してFBIは証拠の偽造ですか。
頼むから映画の中だけであって欲しいです。
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