みち

リチャード・ジュエルのみちのレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
4.2
法への信頼と信奉を捨てきれないリチャードが、自分自身の怒りを見つけていく過程が良い。

そしてキャラクターの説得力。

リチャードが疑われる理由は、観ていてイライラするくらいによく分かるし、それは同時に、たとえ自分が最後の一人になっても彼を信じ続けようと思える理由になっている。

弁護士も記者もFBIも、根底にそれぞれの矜持があって、この人だから信用できる、とか、こういう人間だから特ダネが取れる、とか、この男なら自信のままに突き進んでしまうだろう、と、ストーリーがすんなり入ってくるのはキャラクターの強さゆえ。

記者の心変わりとFBIの最終的な尋問の呆気なさは少し気になるものの、納得できないほどのことではない。

ラスト、胃が痛くなるような悪夢の終わりが、拍子抜けするほど静かなシーンであるところに、演出としてのバランス感覚の素晴らしさと、掴んだ勝利の虚しさがあった。
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