アトランタ五輪であった爆弾テロ事件で被害を最小限に食い止めた警備員。英雄になった彼をFBIが犯人じゃないかと言う前提の捜査を始め、それを嗅ぎつけた女性記者がスクープ。メディアスクラムと違法捜査すれすれの騙しのテクを使うFBI捜査官の横暴の中、主人公が以前職場で知り合った弁護士が動き始める。
NRA支持者で法執行官になりたがっているマニアの主人公。バカではないんだけど肥満体型のせいでバカにされがちというキャラクターは思想面ではイーストウッド御大好みの人物像だと思う。
事件直後までの描写は悪くない。相変わらずの早撮りなのか冒頭部の登場人物達の演技は時に棒読み台詞なんですがすぐそういう違和感は消えて演技ラインが揃ってくる。
問題は女性記者の扱いとプロット中盤以降にある。女性記者は情報を取るために相手と寝る事を辞さない設定。これはそういう事実の有無以前に古臭い女性像そのものでこんな時代錯誤が映画に出てくる時点でトランプ大統領時代の時計の針の逆回り感の反映を感じざるを得ない。
事件捜査の展開、記者も弁護士も呆れるシーンがあるんですがあんな大穴があって公判維持できると思う方がおかしい。そのために弁護士は大した仕事をする必要がなく面白味が薄れていて脚色するなら女性記者じゃなくてこっちだろうにと思わずにいられなかった。
サム・ロックウェル、「ジョジョ・ラビット」でもダメ人間を好演してました。本作だと最初の登場では役所で働くできる弁護士だったのが、10年後主人公が本の出版契約の相談で連絡した時には立派なダメ弁護士になっていてそのダメさを表現できる俳優としてサムが起用されたなと確信した。ただダメ人間が輝く瞬間が乏しく、「ジョジョ・ラビット」の方がいい演技をしていたと思う。これは演出、脚本の差でしょう。
弁護士が仕事を受けるかどうか迷っている節があって、そこに無実かどうか考えていたところがありますが、弁護士は依頼人の利益を守る存在であって無実かどうかは依頼人を守る上で知っておきたいけど、仕事を受けるかどうかの基準のわけがない。ここは字幕がおかしかっただけだと良いんですが。。。
