戦の妖
・溝口健二監督作品
・ヴェネツィア銀獅子賞
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先日観ました「来る」に引き続き、またもや妖怪のお話を引いてしまいました😶😶
🔷戦国時代の中、戦に乗じて各々の野望に魅入られた男たちと、不憫なその妻たちの悲劇の物語。
今作は、時代からみても第二次世界大戦について揶揄したものです。
原作は歌人として名高い上田秋成氏の著作で、怪異小説として広く知られております。溝口氏はこれを大戦の心理的側面を写鏡とする幻想として機能させ、その精神について追及しています。
🔶「山椒大夫」でも言えますが、溝口氏は過去の文学作品から現代日本を再構築する作品が多い印象です(特に戦後間も無く)
純粋にお話も面白いですが、溝口氏の戦後日本に対する認識を探ってゆくようでもありますね。
🔷それから溝口氏の構図について。折しも映像の構図についての本を読んでおり、そのことを含めて構図を分析してみました。すると被写体が常に真ん中にいることに気が付いたのです😳😳
溝口作品は奥行きを活かした幽玄な画面ばかり印象に残りますが、対象との距離だけは頗るストイック、、
これまで彼の作品を観る時は、巧みな長撮りや空間描写ばかり観ていたので気づかなかったのですが、よく観ればタイトな画面構成をされてるんですね。
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🐍まとめ🐍
溝口健二の戦後日本に対する認識と、原作の良さ、そして構図の良さがひしひしと感じ取れる作品でした。特に空間描写が秀逸でした。