戦によって乱れる暮らし、心。
男は欲に目が眩み、愛すべき存在を忘れ、過ちをおかす。女はその男を愛してしまったが故に苦しみ、堪え忍ぶ。
男が目を覚まし後悔する時にはもう、女は取り返しのつかない傷を背負ってしまう。
それでも女は夫を想う。「馬鹿野郎」と叱咤しながら、「もう一度あんたに会わなきゃ死にきれなかったのよ」と嗚咽しながら。
“正気に戻った罪深き男なら、これから一生涯愛してくれたものに尽くし、感謝して詫びろ”と、そう念を押された気がした。
「いま、あなたがやっとわたしの想うお方になってくだすった、とそう思った時、わたし はもうこの世のものではなくなったのです」