かなみ

雨月物語のかなみのネタバレレビュー・内容・結末

雨月物語(1953年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

父権社会の地獄を、重たい霧のように、細やかな香の煙のように圧倒的な描写力で見せつける。
欲望に駆られた享楽的で移動的な男と、不安と不幸に身を削がれ身動きが取れない女。物質的な豊かさが画面を華やかにしてゆき、家族という素朴で純粋な大切なものがどんどん視界から見えなくなってゆく。美しいのは、男が妻を喪ったことは応報原理そのものであるが妻はその思想から離れたところで無念を語るところであろう。
おぞましい現実に、嘘のように煌めく幻覚が相対化されてゆきあのラストに着地する一連のシークエンスは圧倒的な映画としての芸術が紛れもなくあることを知らしめる。
かなみ

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