菅藤浩三

雨月物語の菅藤浩三のレビュー・感想・評価

雨月物語(1953年製作の映画)
4.5
1953年ベネチア銀獅子賞、溝口健二作品の中でも、これが評価高いのは納得です。とはいえ、近江で羽柴秀吉と柴田勝家が対立していることが世界で知られてるはずがなく、出世欲と金銭欲に目がくらむ男、そして男の犠牲になる女という姿が世界の普遍てことなんでしょう。一般的には、生きているのか悪霊なのか得体のしれない京マチ子演じる若狭の評判が高いのですが、私は若狭よりも夫のワガママについていくうちに婦女暴行され遊女に身を落として生きることになった阿浜とか故郷に源十郎が戻ったときにはとうに死んでしまっていた宮木の存在のほうがぐっときます。こんなに文学的な映像が撮れたんだ、かつての日本のトップにはと感嘆する水準です。
菅藤浩三

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