mimitakoyaki

野球少女のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

野球少女(2019年製作の映画)
3.8
緊急事態宣言も明け、久しぶりの映画館での鑑賞です。
「梨泰院クラス」でとっても印象的だったイジュヨンの主演作。
「恋のゴールドメダル」で主人公の親友の女子レスリング部員を演じてた時も、ボーイッシュでサッパリした感じの役で存在感がありました。

男子ばかりの高校野球部の中で、唯一の女子選手であるスインは、女子にしてはすごいと注目され、実力も十分なのですが、プロ野球に入りたくても、女子というだけではなから除外されてしまいます。
それでも諦めずに夢に向かって必死で努力するという話です。

周りの人達は、スインがプロ野球選手を目指すと言うと、叶いっこない、どうせ無理、諦めろなどなど、女の子がプロ野球選手になるということが、前例もないし非現実的だしってことで、はじめから無理と決めつけるんですね。

こういうことって、ほんとに身近に溢れてて、女性だというだけで機会を奪われて諦めされられるんです。
ウチの息子達は、高校、大学と芸術系の学校に行き、もう1人は製菓の学校に行きましたが、両方ともクラスの7〜8割は女子なんです。
なのに、美術館に展示されてる美術家も店を構えるパティシエも、圧倒的に男性が多いです。
それぞれの業界が完全に男性優位になっていて、女性は排除されたり、越え難い高い障壁があったりするという現実があります。

ましてや野球となると、どうしても骨格から筋肉から、力の強さも、どうしても体格が男女では違うから、女性が男性と同じ土俵に上がる難しさがあります。

なのにスインは、とっても諦めが悪く、聞き分けも悪く、わきまえない子で、ガラスの天井に向かって中指立てつつ、夢を掴むためにまさしく血の滲む努力をしていく、それが最高でほんとにかっこいいんです!

諦めたらもうそこで終わってしまう。
誰にも自分の未来を決めつけられたくない。
そんな思いを持ちながらも、家庭の状況や女性がプロ野球選手になることなど、厳しい現実を前にしていっぱい葛藤します。
それでもやっぱりプロ野球に挑戦したいという情熱に心打たれるし、その強い信念に周りが変わっていき、スインを応援していくようになっていくのも良かったです。

イジュヨンは線が細いからプロを目指すような有力選手には見えにくいけど、ひたむきさがとても素敵でした。

スインの良さを引き出し、そばで支えたコーチ役のイジュニョクは、どこかで見たと思ったら、「秘密の森」のドンジェだった!
今回は全然感じが違うからわかりませんでした。

それからこの頃いろんな作品で見かけるヨムヘランとユジェミョンですよ!
大好き!
ヨムヘランはスインの母親役ですが、さすがの演技と存在感です。
たまにパリッとした役の時もありますけど、大抵は庶民的なおばちゃん役で、実在感があるんですよね。
ヨムヘランやユジェミョンが出てくると、ほんとに嬉しくなります。

日本も韓国もジェンダーギャップが大きくて、世界的に見ても遅れた男尊女卑の国ですが、日本では、森喜朗の女性蔑視発言も話題になったばかり。
もし失言オリンピックがあったら、最有力のメダル候補になるでしょうよ。
一方で韓国は、ここ数年、汚名返上するべく、ジェンダー問題にも力を入れてきていて、女性の生きづらさをテーマにした傑作映画もたくさん生まれてきてます。
日本でも、そうした意識で作られた作品が増えて欲しいと思います。

15
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